2025/05/13
CONCEPT

宮城県大崎市古川で、半世紀に渡り地域福祉に貢献してきた保育園の老朽化に伴う建て替え計画。
「こばとのすばこ」をテーマに、建物内外で光や風、雨や雪など自然を感じながら、人とのふれあいを通じて園児が感受性豊かに育つよう、快適で楽しい建物を目指しました。
既存の桜の樹のシンボルツリーを眺めるアプローチ動線とし、前面の広い園庭と奥に伸びる南庭のあちこちで外遊びができるようにしました。花壇やビオトープ、畑、砂場を配置し、日陰で休むこともできるように、水飲み、足洗い場を備えた大きなピロティを設けました。
各保育室は全て南に面し、安全に換気もできる排煙窓を備えた大きなサッシによって、明るい空間となっています。
1階廊下の中央には会議室を兼ねるインナーテラスを設け、全開放サッシを通じてデッキに連続させました。
階段踊り場下を利用した天井の低い空間は、落書きできる黒板シートを貼り「秘密基地」と称して、おこもりするように遊べる子ども達のスペースとしました。
建築主の社会福祉法人愛光福祉会様では食育にも力を入れているので、秘密基地の対面には給食室内を覗けるカウンター窓を設け、2階に上がる子供たちも見ることができるよう階段踊り場にも窓を設けました。
2階の遊戯室は7m×12mの伸びやかな空間で、高さを確保した折上げ天井をアッパーライトを設置して照らすことで、広さを強調し雰囲気を向上させました。
移動間仕切と全開放サッシを開けると隣の保育室から屋上テラスまで一体利用も可能となる構成にしています。屋上テラスはプールの設置を想定し、その際のプライバシーを確保した上で、園庭で遊ぶ子供たちと声をかけあえるように竪格子のスチール手摺でデザインしました。
また、北側の安定した光とトップライトから降り注ぐ光を受けて、園児が戯れる北側の「おともだちホール」には「ひだまり本棚」とベンチを設えました。遊戯室からすぐの位置にあるので、動と静の活動を通じて友情を育んでいってほしいと思います。
園舎の構造は軽い木造としました。基礎、構造材、金物を緻密な構造計算で使い分け、各所に大断面集成材を採用して大空間を実現し、保育の質と自由度を向上させました。
切妻屋根の形状を生かして、広い小屋裏収納も設けています。
また、コストダウンを兼ねて既存杭は残置し、地盤置換工法のコロンブス工法を採用して地盤の安定を図りました。
快適性と安全性を意識した設計により、新園舎がこの先も園児の思い出に残り、その成長を見守る楽しい「すばこ」となることを願っています。
DATA
竣工年月 | 2025年3月 |
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所在地 | 宮城県大崎市古川 |
主要用途 | 保育所 |
建築種別 | 新築工事 |
構造・規模 | 木造2階建 |
建築面積 | 470.27m2 |
延床面積 | 800.55m2 |
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